9thコンサート演奏曲紹介⑥「内なる遠さ」より『崖の上ーかもしか』
(前回記事はこちら)
先週に引き続き、「内なる遠さ」の楽曲紹介!
2曲目は・・・
『崖の上ーかもしか』
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その昔 漁る人は海へ行く前
先ずかもしかを探しに
山へ出かけた
その角の鉤針は無類だったから
その昔 旅立つ人は遠くいく前
先ずかもしかを探しに
山へ出かけた
その毛皮は無類だったから
しかし今 深く自分に出会いたいとき
先ずかもしかを求めて
山に分け入る
ただひとり登り続ける険しい山の道
ただひとり日が暮れていく淋しいけもの道
やがてその道さえとぎれ
朝が来て なおよじ登る
目くるめく崖の上
まだ出会えないかもしかよ
だが この崖の上でなら
このままおまえが来るのを待とう
決して崖を恐れず
孤独を恐れないかもしかよ
いつもきり立つ岩の上
自分ひとりと向き合って
己れのなかの声を聴き
不思議な虹を見つめている
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この詩は、かもしかの価値観の変化から始まります。"昔"は角や毛皮といった実用的な目的で求められたかもしかが、"今"は「深く自分に出会いたい」という精神的な探求のために求められる存在となっています。この『自分に出会う旅』の終着点とされている"崖"は、もう誰にも頼ることができない、自分一人と向き合うしかないという、精神的な極限状態を象徴しています。この崖の上で、かもしかは「孤独を恐れない」存在として描かれ、「己れのなかの声を聴き」ながら自立して生きる、私たちの理想の姿を示しています。
この精神的な厳しさを、前曲「飛翔ー白鷺」の幻想的な美しさとは対照的に、ごつごつとした岩肌や、孤独な旅路の厳しさを思わせる硬質な音楽が特徴的です。特に終盤、「己れのなかの声を聴き」の部分では、ユニゾンで内省的な響きの旋律を歌い上げ、孤独の先に得られる精神的な自立の姿を、聴く人に強く印象づけます。
あと3週、「内なる遠さ」の楽曲紹介が続きます!お楽しみに!
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