9thコンサート演奏曲紹介③Die Wasserfee

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9thコンサート演奏曲紹介第3弾は、こちら!


Die Wasserfee Op.21(Josef Gabriel Rheinberger)

邦題:水の妖精

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Endlos über Wasser hauchen Nebel,

dem Gestade nah;

Möwen aus der Woge tauchen,

Dämmerung und Nacht ist da.

Und die Wellen schießen her und hin;

wie sie grüße, wie sie fliehe,

in wie im süßen Melodien!

Horch im See, die Wasserfee!

Sturmhell dunkel glühn die Wogen,

sind es Seelen, die hinab,

um ihr Erdenglück betrogen,

Liebe zog ins feuchte Grab?

Siehst du sie dort winken, Fisch und Maid,

in der Linken hoch das kleid,

Gürtel blinken und Geschmeid?

Horch im See, die Wasserfee!

Sehnlich von den bleichen Lippen,

von den Lippen blass und bleich

klagt es in Gestein und klippen

ums verlorne Himmelreich:

„Alles unser Leben ist nur Flehn,

weinend Weben, singed Wehn,

Klag' erheben und vergehn.“

Horch im See, die Wasserfee!

Augenlockendes Gelüste

schaut herauf voll Liebespein,

Wellen rauschen um die Brüste

und wie Harfen klingst's darein,

und es flüstert, flüstert bange:

„O komm und scherz! ich verlange

dein mit Schmerz, rote Wange, fühlend Herz.“

Horch im See, die Wasserfee!


果てしなく、水面を霧が吐息のように覆い、 岸辺に近づく。 かもめが波間から顔を出し、 薄暮と夜が訪れた。 そして波は、あちらへこちらへ射るように走る。 その甘美な旋律の中で、波をどう迎えようか、どう逃れようか! 湖に耳を澄ませ、水の妖精の声を!

嵐の光に照らされ、波は暗く輝き、 それは魂なのだろうか、 地上の幸せを裏切られ、 愛が湿った墓へと引きずり込んだ魂なのだろうか? あなたは彼女がそこで手招きするのを見たか、魚や乙女よ、 左手にドレスを高く掲げ、 ベルトがきらめき、宝石が散りばめられているのを? 湖に耳を澄ませ、水の妖精の声を!

青ざめた唇から、 青白く、か弱い唇から、 岩や崖の中に、失われた天国を求めて嘆きが響く。 「私たちのすべての人生は、ただの嘆願であり、 泣きながら織りなすこと、歌いながら苦しむこと、 嘆きを起こし、そして過ぎ去ることだ。」 湖に耳を澄ませ、水の妖精の声を!

目を惹きつける欲望が 愛の苦痛に満ちて見上げる。 波は胸の周りに音を立て、 そして竪琴のようにその中に響き、 そしてそれは囁く、不安げに囁く: 「ああ、来て、戯れよう!わたしは、 あなたの痛みを伴った赤い頬、感じやすい心を求めている。」 湖に耳を澄ませ、水の妖精の声を!

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この曲は、2023年度関西合唱コンクールでも自由曲として演奏した曲です。約2年ぶりの再演となります!

作曲のヨーゼフ・ガブリエル・ラインベルガーは、19世紀後半にドイツのミュンヘンで活躍した、知る人ぞ知る大作曲家です。合唱曲やオルガン曲で特に知られており、メンデルスゾーンやブラームスと同じドイツロマン派の時代に、美しい音楽をたくさん残しました。

この「水の妖精」は、彼の世俗曲の中でも特にドラマチックで美しい傑作です。ピアノ伴奏と混声四部合唱(SATB)のために書かれています。

詩はヘルマン・リング(Hermann Lingg)によるものです。この曲の主人公は、タイトル通り「水の妖精」(Wasserfee)*す。ドイツのロマン派の時代には、水の妖精といった、自然の中に潜む神秘的な存在をテーマにした詩や音楽がたくさん生まれました。

「水の妖精」の歌声は、人間を魅了し、水底へと誘います。歌詞は、孤独な湖畔で、夕闇の中で歌う妖精の姿と、その魅力に惹かれていく人間の心の葛藤を描いています。彼女の歌は、この世の苦しみや喜びを忘れさせ、「一緒に来よう」と誘惑しているのです。この曲は、単なる物語ではなく、私たちが日常で感じる**「逃れたい」という気持ちや、「神秘的なものへの憧れ」**といった、誰もが持っている感情を映し出しています。


この曲は、深く内省的な響きを持つロ短調(b-moll)が基調となっています。

冒頭、ピアノが奏でる波の動きのようなアルペジオで始まります。この繊細な音型が、曲全体を通して、水の妖精が住む神秘的な湖の情景を鮮やかに描き出します。

一方で合唱パートは、妖精の甘い歌声(誘惑)と、それに応える人間の不安な気持ち(葛藤)の二面性を表現しています。ラインベルガーらしい、緻密で美しい和声から構成されています。

またダイナミクスの変化が大きいのも特徴です。孤独な静けさ(pp)と、感情が高まる激しさ(f)が対比的に用いられ、ドラマを盛り上げます。

曲の終盤、「ああ、来て、一緒に踊ろう!」という誘惑の言葉が、最も情熱的で高揚した音楽で歌われます。そして、ピアノの波の音が再び静かに戻り、妖精の歌声が水の中に消えていくように終わります。聴き終わった後、自分が今どこにいるのか、一瞬わからなくなるような、不思議な余韻が残る名シーンです。


水面にきらめく光と、その下に潜む甘い誘惑。ラインベルガーが音にしたこの神秘的な世界を、ぜひ9thコンサートで体感いただければ幸いです!皆さんのご来場を心よりお待ちしています!

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またルグランでは、まだまだ、9thコンサートで共に歌ってくださる仲間を大募集中🎵今からでも、間に合いますよ!!!ぜひ一度、練習見学へお越しください


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